Insensatez : Joan Gilberto / Stan Getz & Maria Toledo

 英語で歌うイギー・ポップIggy Poppを先に選びましたが、オリジナルのポルトガル語は自分で歌い比べてみれば、歌詞の内容だけでなく、言葉の「音」、声の出し方、曲と言葉のずらせ方がどう英語のバージョンと違うか感じられて楽しめます。
 ボサノバをポルトガル語版で歌おうと思ったら、ここで選んだジョアン・ジルベルトJoão Gilbertoが練習に最適です。歌い方をコピーしてみれば、なるほど、これがボサノバの頂点なのだな納得できます。
 その下に並べたのはスタン・ゲッツStan Getzのサックスでマリア・トレードMaria Toledoがポルトガル語の歌詞の前半だけを歌うバージョンです。英語とは違い違和感が適度に感じられる気持ちのいいジャズです。YouTubeにはミケランジェロ・アントニオーニMichelangelo Antonioniの映画『夜La Notte(1961)』のクリップを編集して合わせたものが上がっており、一曲サイズのレトロな映画のように決まっています。聞き惚れるわけでもないマリア・トレードの声、歌い方にはひじょうにプレゼンスが感じられ、今見ると時代がかった「リアリスム」の映画のクリップによく合います。これに出ているジャンヌ・モローとモニカ・ヴィッティのイメージに釣り合うのでしょう。滑らかな声のアストラッド・ジルベルトが歌っていれば、だいぶ感じが違う、というよりアントニオーニの映像には合いません。
 




Insensatez(バカだった)

A insensatez que você fez
バカなことをお前はした
Coração mais sem cuidado
だれよりも気が利かない心よ
Fez chorar de dor
苦しめ泣かせた
O seu amor
お前の恋人を
Um amor tão delicado
とても傷つきやすい恋人を
Ah, porque você foi fraco assim
ああ、どうしてお前はあのように切れやすく
Assim tão desalmado
あのようにひどく冷淡だったのか
Ah, meu coração que nunca amou
ああ、愛することを知らなかった私の心よ
Não merece ser amado
お前は愛されるだけの価値がない

Vai meu coração ouve a razão
私の心よ、理性に耳を傾けるのだ
Usa só sinceridade
ただ誠意を示すのだ
Quem semeia vento, diz a razão
理性は言う。風の種を蒔いた者が
Colhe sempre tempestade
いつも嵐をおさめことになると
Vai, meu coração pede perdão
さあ、私の心よ、許しを求めるのだ
Perdão apaixonado
心を込めて許しを
Vai porque quem não pede perdão
さあ。許しを求めない者は
Não é nunca perdoado
決して許されないのだから

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