Paroles paroles : Zap Mama et Vincent Cassel

 Alain Delonアラン・ドロンとDalidaダリダのオリジナルもすでにこのブログに入れていますが、ザップ・ママのバージョンも一聴しただけで殿堂入りです。
 ザップ・ママがフランス語、ヴァンサン・カッセルはフランス人ですがポルトガル語です。フランス語ではアラン・ドロンの影が強すぎるからでしょう。
Zap Mama - Alrightはこちらです。








引用できないスライド写真バージョンのYouTubeが以下にあります。 

Paroles Paroles
Vincent Cassel featuring Zap Mama


Paroles et paroles et paroles
言葉、言葉、言葉
é estranho, eu não sei o que acontece esta noite
不思議だ。今夜ぼくに何が起きたのか分からない
Eu te vejo como pela primeira vez
初めて会った時のように君が見える

Encore des mots toujours des mots les mêmes mots
もっと言葉を、ずっと言葉を、同じ言葉を
Eu não sei como te dizer 
どう言っていいか分からない
Rien que des mots 
言葉しかないわ
Mas vocé é como uma bela historia de amor
しかし、君は美しい愛の物語りのようだ

Des mots faciles des mots fragiles c'était trop beau
簡単な言葉、はかない言葉、なんて美しいの
Que eu não termino jamais de ler
いつまでも読むのを止めることはない
Bien trop beau
ほんとうになんて美しいの
Voce foi, é, e serà bien trop beau sempre minha ùnica verdade
君は過去も現在も未来もずっとあまりにも美しい、僕の唯一の真実
Mais, c'est fini le temps des rêves
でも、夢の時間は終わったわ
Les souvenirs se fanent aussi quand on les oublient
思い出も色あせるわ、忘れてしまう時
Vocé é como o vento que faz cantar os violinos, e espalha o perfume das rosas
君は風のようだ。ヴァイオリンを歌わせ、バラの香りを振りまく

Caramels, bonbons et chocolats
キャラメル、ボンボン、ショコラ
Por um momento não te entendo
一瞬君の声が聞こえない
Merci, pas pour moi mais
ありがとう、わたしにじゃないわね。でも
Tu peux bien les offrir à une autre
他の女に捧げていいわよ
Qui aime le vent et le parfum des roses
風とバラの香りが好きな女に
Moi les mots tendres enrobés de douceur
わたし、甘い香りに包まれた優しい言葉が
Se posent sur ma bouche
わたしの唇にのせられる
Mais jamais sur mon cœur
でも、心にじゃない

Chorus

Paroles et paroles et paroles
言葉を、言葉を、言葉を
Escuta
聞いてくれ
Paroles et paroles et paroles
言葉を、言葉を、言葉を
Eu te implore
君に請い願う
Paroles et paroles et paroles
言葉、言葉、言葉
Eu te juro
君に誓う
Paroles et paroles et paroles et paroles
言葉、言葉、言葉、言葉
Paroles et encore des paroles que tu sèmes au vent
言葉を、もっと言葉を、あなたは風に乗せてまき散らせる
E o meu destino, falar para voce, falar como da primeira vez
君のために話す、初めての時のように話すのがぼくの運命だ

Encore des mots toujours des mots les mêmes mots
もっと言葉を、ずっと言葉を、同じ言葉を

Como eu queria que vocé me entendesse
ぼくの言うことを聞いてほしいから
Rien que des mots
言葉しかないわ
Que voce me ouvisse ao menos uma
一度でいいから聞いて欲しい
Des mots magiques des mots tactiques qui sonnent faux
魔法の言葉、ウソとしか聞こえない駆け引きの言葉
Voce é meu sonho proibido
君は禁じられた夢だ
Oui tellement faux
そう、ほんとうにうわべだけね
Meu ùnico tormento e minha ùnica esperança
ぼくの唯一の苦悩、ぼくの唯一の希望
Rien ne t'arrêtes quand tu commences
あなたは話し始めると、どうやっても止めることはできない
Si tu savais comme j'ai envie d'un peu de silence
すこし黙っていて欲しいと思っているのが分からないの
Voce é para mim a ùnica mùsica que faz dançar as estrelas sobre as dunas
君は僕にとって唯一の音楽、砂丘の空に星を踊らせる
Caramels, bonbons et chocolats
キャラメル、ボンボン、ショコラ
Si vocé jà não existisse, eu te inventaria
君がもう存在しないのなら、君を創り出すまでだ
Merci pas pour moi, mais
ありがとう、私にじゃないわ。でも
Tu peux bien les offrir à une autre qui aime les étoiles sur les dunes
砂丘の空の星が好きな女に捧げればいいわ
Moi les mots tendres enrobés de douceur
わたし、甘い香りに包まれた優しい言葉が
Se posent sur ma bouche mais jamais sur mon cœur
わたしの唇にのせられる。でも、わたしの心にじゃない
Uma palavra ainda, somente uma palavra 
もう一言、ただ一言だけ
Paroles et paroles et paroles
言葉、言葉、言葉
Escuta
聞いてくれ
Paroles et paroles et paroles
言葉、言葉、言葉
Eu te suplico
お願いだ
Paroles et paroles et paroles
言葉、言葉、言葉
Te juro
君に誓う
Paroles et paroles et paroles et paroles
言葉、言葉、言葉、言葉
Paroles et encore des paroles que tu sèmes au vent
言葉、もっと言葉、風に乗せてあなたは振りまく
Paroles et paroles et paroles
言葉、言葉、言葉
Vocé é bela
君は美しい
Tu es tellement belle
君はほんとうに美しい

Insensatez : Pedro Aznar & Cecilia Echeñique

Insensatez はこのスペイン語のスローなヴァージョンもすばらしい!




Ah, qué insensatez 
ああ、なんてバカなことを
mostraste ayer 
昨日、見せてしまったのか
corazón más descuidado 
この上なく冷たい心よ
al regar dolor 
苦しみを与えてしまった
sobre tu amor 
お前の恋人に
un amor tan delicado 
とても傷つきやすい恋人
Ah, dime por qué 
ああ、どうしてなのか言ってくれ
flaqueaste así
あんなふうに切れてしまい 
al ser tan desalmado 
ほんとうに恥知らずだった
Ah, mi corazón 
ああ、私の心よ
quien nunca amó 
愛することを知らなかった者は
no merece ser amado 
愛される価値がないのだ

Ve, mi corazón, 
さあ、私の心よ
entra en razón 
理性を持て
ve y enfrenta las verdades 
行って真実に向き合うのだ
pues quien siembra vientos 
風の種を蒔く者は
sabes muy bien 
よく知っているだろう
que recoge tempestades 
嵐を収めることができるのだ
Ve, mi corazón, 
さあ、私の心よ
pide perdón, 
許しを求めよ
perdón apasionado 
心を込めて許しを
Ve, porque quien no pide perdón 
行くのだ、許しを求めない者は
no es nunca perdonado
いつまでも許されないのだから

Insensatez : Mercedez Sosa

 メルセデス・ソーサがポルトガル語で歌うこのヴァージョンもすばらしい!
レコーディングの映像は歌詞の下に付けておきます。 




A insensatez que você fez
バカなことをお前はした
Coração mais sem cuidado
だれよりも気が利かない心よ
Fez chorar de dor
苦しめ泣かせた
O seu amor
お前の恋人を
Um amor tão delicado
とても傷つきやすい恋人を
Ah, porque você foi fraco assim
ああ、どうしてお前はあのように切れやすく
Assim tão desalmado
あのようにひどく冷淡だったのか
Ah, meu coração que nunca amou
ああ、愛することを知らなかった私の心よ
Não merece ser amado
お前は愛されるだけの価値がない

Vai meu coração ouve a razão
私の心よ、理性に耳を傾けるのだ
Usa só sinceridade
ただ誠意を示すのだ
Quem semeia vento, diz a razão
理性は言う。風の種を蒔いた者が
Colhe sempre tempestade
いつも嵐をおさめることになると
Vai, meu coração pede perdão
さあ、私の心よ、許しを求めるのだ
Perdão apaixonado
心を込めて許しを
Vai porque quem não pede perdão
さあ。許しを求めない者は
Não é nunca perdoado
決して許されないのだから


Hey, Who Really Cares? : Linda Perhacs

 このブログ「箱と曲」のビジターからリンダ・パーハクスのこの曲をここに加えてほしいと要望がありました。この曲が入った『Parallelograms(平行四辺形)』というアルバムは1970年に発表され、忘れさられた、あるいは知られないままだったものがレコード愛好家によって再発見され、2005年にCD化されたそうです(Wikipedia)。
 繊細な声、感性、一人称の言葉がひじょうにネガティブで「ブルー」、心に響きます。好みではあるのですが、このブログが「経験的に聞きあきることなくいつまでも聞いていられる」「歌えるようになりたい」曲に限定する方針をとってきたため、またこの英語の歌詞の翻訳にもよく分からないところがあるため、しばらく迷っていました。まだ決断がつきませんが・・・



Hey, who really cares
(ねえ、だれがほんとに気に掛けてくれるって言うの)

Been coming down for a long time
長い時間をかけて下りてきた
Changes coming down on me
わたしに下りてきた変化
Can’t seem to carry ‘em all now
今それをぜんぶ持っているようには思えない
Been wishing there was someone else I could be
わたしがだれか他の人になれていたらとずっと願ってきた

Hey now, who really cares
ねえ、だれがほんとに気に掛けてくれるって言うの
Hey, won’t somebody listen
ねえ、だれかが耳を傾けたりしてくれないでしょう
Let me say what’s been on my mind
わたしが気になっていることを言わせて
Can I bring it out to you
あなたにはき出してもいい?
I need someone to talk to
話しかける人が必要なの
And no one else would spare me the time
でも、だれもわたしに時間を割いてくれようとしない

I used to think of ferries wheel light sounds
鉄道の軽い響きのことを昔はよく考えていた
The friday hum of neons and blue
金曜日に聞くノイズ、ネオンのそしてブルー
But now they’re like circular cages
でも今そんなものは回転カゴのよう
Of graded tin and rusted wind
傾斜したブリキとさびた風の

Hey now, who really cares
ねえ、だれがほんとうに気に掛けてくれるって言うの
Hey, won’t somebody listen
ねえ、だれかが耳を傾けたりしてくれないでしょう
Let me say what’s been on my mind
わたしが気になっていることを言わせて
Can I bring it out to you
あなたにはき出してもいい?
I need someone to talk to
話しかける人が必要なの
And no one else would spare me the time
でも、だれもわたしに時間を割いてくれようとしない

Insensatez : Joan Gilberto / Stan Getz & Maria Toledo

 英語で歌うイギー・ポップIggy Poppを先に選びましたが、オリジナルのポルトガル語は自分で歌い比べてみれば、歌詞の内容だけでなく、言葉の「音」、声の出し方、曲と言葉のずらせ方がどう英語のバージョンと違うか感じられて楽しめます。
 ボサノバをポルトガル語版で歌おうと思ったら、ここで選んだジョアン・ジルベルトJoão Gilbertoが練習に最適です。歌い方をコピーしてみれば、なるほど、これがボサノバの頂点なのだな納得できます。
 その下に並べたのはスタン・ゲッツStan Getzのサックスでマリア・トレードMaria Toledoがポルトガル語の歌詞の前半だけを歌うバージョンです。英語とは違い違和感が適度に感じられる気持ちのいいジャズです。YouTubeにはミケランジェロ・アントニオーニMichelangelo Antonioniの映画『夜La Notte(1961)』のクリップを編集して合わせたものが上がっており、一曲サイズのレトロな映画のように決まっています。聞き惚れるわけでもないマリア・トレードの声、歌い方にはひじょうにプレゼンスが感じられ、今見ると時代がかった「リアリスム」の映画のクリップによく合います。これに出ているジャンヌ・モローとモニカ・ヴィッティのイメージに釣り合うのでしょう。滑らかな声のアストラッド・ジルベルトが歌っていれば、だいぶ感じが違う、というよりアントニオーニの映像には合いません。
 




Insensatez(バカだった)

A insensatez que você fez
バカなことをお前はした
Coração mais sem cuidado
だれよりも気が利かない心よ
Fez chorar de dor
苦しめ泣かせた
O seu amor
お前の恋人を
Um amor tão delicado
とても傷つきやすい恋人を
Ah, porque você foi fraco assim
ああ、どうしてお前はあのように切れやすく
Assim tão desalmado
あのようにひどく冷淡だったのか
Ah, meu coração que nunca amou
ああ、愛することを知らなかった私の心よ
Não merece ser amado
お前は愛されるだけの価値がない

Vai meu coração ouve a razão
私の心よ、理性に耳を傾けるのだ
Usa só sinceridade
ただ誠意を示すのだ
Quem semeia vento, diz a razão
理性は言う。風の種を蒔いた者が
Colhe sempre tempestade
いつも嵐をおさめことになると
Vai, meu coração pede perdão
さあ、私の心よ、許しを求めるのだ
Perdão apaixonado
心を込めて許しを
Vai porque quem não pede perdão
さあ。許しを求めない者は
Não é nunca perdoado
決して許されないのだから

How insensitive (< Insensatez) : Iggy Popp

 ずっと歌詞の内容を読み込まず、曲だけ聴いていた時は退屈なスタンダードとしか思っていませんでしたが、歌詞を翻訳するためによく読んで見ると、シンプルでありながら味わいのある内容で、琴線に触れるものがあります。原曲になったショパンのプレリュードChopin: Prelude No.4との干渉効果でひじょうに奥行きが感じられ、ひとつひとつの言葉、繊細なメロディーに聴き入ってしまいます。英語バージョンの『How insensitive』は味わいが変わりますが、こちらも歌詞による内容の違いを読み比べてみると、ポルトガル語と英語の世界観の違いのようなものが感じられます。
 トップはイギー・ポップIggy Poppにします。シナトラ他が歌うメロディー、歌詞をわずかに変え、彼の声、スタイルに最適化されており、歩きながらボソボソ口ずさむにはちょうどいいので、これが基本になりました。


How Insensitive(何と無神経だったのか)



How insensitive I must have seemed when you told me that you loved me
ぼくは無神経な人間に見えたにちがいない。君が愛していると言ったとき
How unmoved and cold I must have seemed when you told me so sincerely
ぼくは図太く冷淡に見えたにちがいない。君が本気でそう言ったとき

Why, you might have asked, did I just turn and stare away in icy silence?
どうしてぼくがそっぽを向いて氷のように冷たくよそを見ているのかと
聞いてもおかしくなかった。
What was I to do? What can you do?
ぼくはどうすればよかったのか。君に何ができただろうか。
when a love affair is over?
恋愛事は終わっているのに

Now I'm alone, and I see all the heartache in your last look
今ぼくはひとりだ。最後に見た君の姿には心の痛みが見て取れる
Vague and drawn and sad I see it still, all the memory of that last look
ボーッとして顔が引きつり、悲しんでいる。僕にはまだ見える。
最後に見たあの姿は忘れられない

Why, you might have asked, did I just turn and went in icy silence?
どうしてぼくが氷のように冷たく背を向け、去ったのかと
聞いてもおかしくなかった。
What was I to do? What can you do?
ぼくはどうすればよかったのか。君に何ができただろうか。
when a love affair is over?
恋愛事は終わっているのに


O poeta e o cobertor : Antonio Carlos e Jocafi

 何年も前から(5年以上)YouTubeに出るのを待ちわびていた曲です。やっと上がりました。
 ポルトガル語の発音が大昔の西洋言語はこんな感じか?中世のヨーロッパの歌謡?と感じさせる素朴な味わいの曲で、出会って以来、アルバムのこの曲のみ愛聴しています。JobimではないほうのAntonio Carlosと言われることもあるようですが、マリア・クレウーサMaria Creuzaと結婚、離婚しており、マリア・クレウーサが震える繊細な声で歌うヴァージョンもなかなかの聞き物で、彼女のファンという方がそちらをネットで紹介していました。
 二つをよく聞き比べていますが、中世のトロヴァドール/トゥルヴァドゥールに関心があったせいか、こちらに寄ってしまいました。男性の声のほうが練習して覚えるにはよかったからでもあります。
 曲を聞いて気に入れば普通は何語の歌詞でもまず原詞を入手し、その発音をカタカナで書き留めて繰り返し口に馴染ませるのですが、今回は原詞がないので、カタカナで書き取りました。日本語訳詞は内容が歪んでいることが多いので、できるだけ正確に理解し、自分で翻訳することにしているのですが、この曲は日本語訳から原詞の内容を想像するしかありません。
 曲名は『詩人と毛布』と直訳されたものしか見ませんが、「毛布」はだれでもこれだけで何だこれはと疑問を覚えるでしょう。日本語の訳詞を読めば「庇護者/庇ってくれる人」を意味する隠喩で、「乙女/お姫様」を指すようですが、原語にある「覆う/包む」のような意味がまったくない「毛布」では日本人にとってはこれ以上ない違和感があります。

1曲だけのムービーは上がっておらず、これはアルバム全曲で、この曲は11:16から始まります。

*ブラジル人に歌詞を書き取ってもらいました。おかげでネットでひろった日本語訳をかなり修正できました。



O poeta e o cobertor詩人と庇護者

Toda a aflição de um poeta,
一人の詩人の悲しみのすべて
que dorme desperta, 
かれは眠り、目を覚ます
negando ser um pecador
罪など犯していないと言いながら
Ar de uma donzela que desencantou
魔法が解けた乙女のように
drama do poeta e o cobertor
詩人と庇護者のドラマ

um carroceu de desejos
欲望のメリーゴーランド
vidrava sem medo
怖くはないがふるえていた
nos braços do libertardor
解放者の腕にだかれて
Uma cerimonia dos seus ancestrais,
彼らの祖先たちの儀式
ela em triunfo despertou
それは誇らしく蘇った

Reis, bispos, peões e guardiões desta princesa, 
王と僧正、兵士とこの王女の護衛たち
que lembrado forte,
彼らは強く求め
clamava a morte do trovador,
トロバドールに死刑をと叫んだ

Reis, cordas, prisões, decepções, de parte a parte,
王、ロープ、牢獄、失望、右からも左からも
nem se amedrontou, 
彼はおそれていなかった
valeu a pena, foi por amor, 
憐れむに値する。愛のためだったのだから