Fragile : Sting

 この曲が含まれたLPアルバムNothing like the sunはよく聴きましたが、ライナーに書かれたその日本語訳が確か「太陽なんて目じゃない」となっていました。愛する女性に対して捧げる言葉だから、これでつじつまが合ってはいるようでしたが、この英語なら「太陽のようなものなんてない➡太陽が最高➡太陽には及ばない」のはずで、これでは愛する人と太陽の優劣の関係が逆になります。文法的には誤訳のようだが、変だなと思っていました。
 その後、だいぶ経ってからこの表現が使われたシェイクスピアのソネットを読む機会があり、謎が解けました。
 このソネットが書かれた時代、多くの人が愛する女性を白々しく「太陽、月、花、・・・」と月並みな喩え方をしていたようです。これは現在でもよく使われるメタファーですが、シェイクスピアはそのような凡庸な表現スタイルを背景に、「わたしの愛する人は太陽にはまったく及ばない。しかし、だれよりも素晴らしい人だ」というひとひねり加えた讃え方をしています。さすがです。
 小学校で国語教師をしていたスティングがひじょうに好んだシェークスピアの言葉だそうで、なるほどと思えます。
 


Fragile
(儚きもの)

If blood will flow when flesh and steel are one
肉と鋼が一つになり血が流れても
Drying in the colour of the evening sun
夕陽の色に染まって乾いてゆき
Tomorrow's rain will wash the stains away
明日の雨がその染みを洗い流すだろう
But something in our minds will always stay
しかし、わたしたちの心にはいつまでも残るものがある
Perhaps this final act was meant
たぶんこの最後の手段は予定されていた
To clinch a lifetime's argument
死ぬまで続く議論に決着を付けるために
That nothing comes from violence and nothing ever could
暴力からは何も生まれない、できることは何もなかった
For all those born beneath an angry star
怒れる星の下に生まれた者すべてにとって
Lest we forget how fragile we are
わたしたちがどんなにいかを忘れないようにしよう

On and on the rain will fall
いつまでも雨は降り続ける
Like tears from a star like tears from a star
星の涙のように、星の涙のように
On and on the rain will say
いつまでも雨は言い続ける
How fragile we are how fragile we are
わたしたちがどんなに儚いか、わたしたちがどんなにいか

On and on the rain will fall
いつまでも雨は降り続ける
Like tears from a star like tears from a star
星の涙のように、星の涙のように
On and on the rain will say
いつまでも雨は言い続ける
How fragile we are how fragile we are
わたしたちがどんなにいか、わたしたちがどんなにいか
How fragile we are how fragile we are
わたしたちがどんなにいか、わたしたちがどんなにいか

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