井戸の中で神様が泣いていた : 友川かずき

ドキュメンタリー映画『花々の過失』(2009)


 言葉と意味と声が共振する瞬間はすごいものですが、場所と時間、さらには立ち位置や距離まで共振し、それが持続するのですから、息を呑みます。




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『ピストル』pistol



『海みたいな空だ』Look at the sky, it's like the Ocean





『生きているって言って見ろ』


『井戸の中で神様が泣いていた』


鬼の首には血糊の輪っか、
くすんで押し花のように巻かれてた
風があの時はらんだものは
ゾウの空と嗚咽のねこ
のどを満たそうとつるべを落としたら
井戸の中で神様が泣いていた

あらゆる価値が壊れればいいと
壊してやりたいと念じてはいた
退屈なる者 性善なる者
血の失せた者 終末なる者
土地に 場所に 遙かなる朝に
井戸の中で神様が泣いていた

雪が降る降る悔恨の肩に
死せる者に生くる者に
いかほどの余地もないのだから
腹を決めて立つしかない
音の途切れた罪人の背なに
井戸の中で神様が泣いていた






『絵の具の空』



あの角を曲がればと
いつもいつも思ってた

花咲くころはことさらに
カカトを強く打ち付けた

空はどこまでも天高く
私ら魂吸い込んで

その残酷な青さいつか
傷つけたいと思っていた

春でも夏でもなかったような
長い時節のさら底を

ハダカでさまよっているようだ
はくせい獣 声がする

オッホオッホ呼ばれても
戻るカカトがすでにない
いつかめざした角さえも
茫洋霧がけむってた

絵の具の空のまばたきは
青く硬く澄んでいた
絵の具の空のまばたきは
青く硬く澄んでいた

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